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読書メモ『さあ、気ちがいになりなさい』

 フレドリック・ブラウン『さあ、気ちがいになりなさい』 早川書房
[収録作品:“みどりの星へ” “ぶっそうなやつら” “おそるべき坊や” “電獣ヴァヴェリ” “ノック” “ユーディの原理” “シリウス・ゼロ” “町を求む” “帽子の手品” “不死鳥への手紙” “沈黙と叫び” “さあ、気ちがいになりなさい”〕

 私の好きな作家、星新一が訳をしていたので選んだのですが――十月に購入した六冊の中で一番面白い本でした。表題作のみで言えばマルセル・エイメの『壁抜け男』なんですが、こちらは話に当たり外れがないんです。

 地球最後の男のいる部屋のドアがノックされるシーンで始まる“ノック”や、誰もいない森で木が倒れたらその音は存在するのか否かという昔からの議論を膨らせた“沈黙と叫び”など、話の上手さに唸らされます。(“沈黙と叫び”は以前にも読んだことがあるというのに)。
 表題作を含めて全てが一定基準以上のレベルにあり、各人の好みによってどれが好きか変わると思いますが、私の一番は“電獣ヴァヴェリ”です。心にジンと来る読後感がたまりません。
 簡潔で癖のない星氏の文体もよく似合っています。「翻訳ものって、文章がまだるっこしい」という私のような人に薦めたくなるような本です。

 ですが非常に残念な点が二つあります。
 それは解説。
 一つは、「解説の方が、表題作のオチをバラしてしまっている」こと。
 一応伏せられている所もあるものの、読み手が一番知りたがっていたことは明確に書かれていて、推理小説に例えるなら「犯人はAだよ。トリックは内緒だけど」というレベルです。隠している意味がありません。
 二つ目は「この本に収録されていない、ブラウンの別の小説のオチもバラしている」ことです。
 一つ目のことはまだともかく、どうして収録されていない作品のオチまで書いてしまうのでしょうか。ネタばらしされることで興味のわくものと、そうでないものとがありますが、こちらは完全に後者でした。
 「ここには載っていないけど、こうこうこういう話もあって、それが凄く面白いんだよ」くらいの紹介なら、ブラウンに興味を持った一読者として嬉しかったのに――残念です。
 解説は読まないことをお勧めします。
(※解説の最初の文を見るに、復刊後の方のみのようです)

 本自体は本当にお薦めです。

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 何故か読み終わる寸前まで、ダールと勘違いしていました。
 ……名前が混ざるんです。

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